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時の流れを感じる振り子時計

ゆっくりと規則正しく振り子が左右する振り子時計を見ていると「ああ、時間を刻んでいる」という実感がします。

特に、振り子時計が盛んに作られているのがドイツ。有名な時計の生産地、ドイツ南部のシュヴルトゥバルト（豊かな森林地帯で‘黒い森’と呼ばれています）では、農家の冬の副業として始まった鳩時計が（時間が来ると飛び出してくるのは鳩ではなく、実は森に住むカッコーなのですが）今でも付近で産する木材を手作業で加工し、機械式の様々な種類の振り子時計が作られています。

余り知られていませんが、この振り子時計の歴史の中で革命的な一歩を記したのが、かの有名なガリレオ・ガリレイなのです。彼は今から４５０年近く前の１５８２年、振り子の等時性原理（振り子の振幅が大きくても小さくても、周期すなわち１往復に要する時間は同一であるということ）を発見し、そしてその後のヨーロッパでのさらなる改良もあって、画期的に時計の精度が向上しました。

このように振り子は「機械式時計」の重要なパーツの一つであり、時間の進み、遅れを振り子の最下部についているネジを回すことによって微調整するためになくてはならないものだったのですが、実は現在のほとんどのクォーツ式の振り子時計では振り子は単なる飾りであり、時刻には何の関係もないパーツになってしまいました。

現在、国内における掛け時計のうち、振り子の無いタイプと振り子がついているタイプの販売比率は、おそらく２０対１程度の差があります。ただ、欧米では鳩時計（カッコー時計）を筆頭に、振り子時計の人気が高く、豪華な装飾を施したものからメタルベースのクールでモダンなタイプまで、さまざまなデザインのものを見ることができます。先に述べたように振り子は単なる飾りになってしまいましたが、それでも振り子時計に根強い人気があり、贈答用としてならその販売台数の差は５対１程度に縮まるのは、規則正しく振り子が揺れる優美な姿と、単に機能だけでないそのインテリア性に価値があるからではないでしょうか。